構造設計とは?
構造設計とは何か、いまいちピンとこない方のために書いていきます。
まず建築士と聞くと、設計図を書いて間取りやデザインを決める人のことを思い浮かべる方が多いと思います。
しかし実際には、意匠設計・構造設計・設備設計の3つの役割があり、それぞれ意匠設計者・構造設計者・設備設計者の3者が協力して設計を行っています。
設計者 | 一般的な役割 |
---|---|
意匠設計者 | デザイン担当、全体の統括、お施主様とやり取りする。 |
構造設計者 | 地震や台風を考慮して、柱や梁の大きさ・配置を設計する。 |
設備設計者 | 配管や電気配線を考慮して、設備を設計する。 |
このように構造設計者とは、骨組みを考え地震や台風などに対して、建築物が安心・安全に建っているようにする役割を担っています。
(と、ここまでがよくある解説です。今回はもう少し構造設計者について深掘りします。)
構造設計者が考えるべき6つの課題
では、建築物が安心・安全に建っているとはどういうことでしょうか。
もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。
私は、具体的に構造設計には6つの考えるべき課題があると考えています。
課題 | 説明 |
---|---|
安全性 | 地震・台風に対して壊れにくい設計。 |
耐久性 | 長い年月にわたって腐朽せず、建物が長く保たれる設計。 |
経済性 | 購入する人が金銭的に負担のない設計。 |
施工性 | 施工者が建設する際に負担のない設計。 |
意匠性 | デザイン性に優れ美しく、挑戦的で新しい価値を創る設計。 |
未来性 | 自動設計や最適化など新技術を用いた設計。 |
構造設計者それぞれで6つの課題に対するアイデアの数に差があり、得意・不得意が分かれます。(未来性は、特殊であるため考えられない場合が多いかも。)
多くの場合、複数の課題に対してアイデアを持っていることが多いですが、所属している組織の性格によって得意なことが分かれることが多いです。
構造設計者の念能力風系統分析
課題を踏まえて、某漫画の念能力風に構造設計者の能力は分類してみました。
あくまで得意・不得意であり、構造設計者としてすべての系統の最低限必要な知識は持っていることを前提とします。
それぞれの設計者は、念能力と同様に図の位置が近いほど親和性があり、逆に対角に位置する系統についての造詣は少ないように思います。(ただし、未来系のみ特殊)
系統別 | 特徴(※個人の勝手な見解が含まれます) |
---|---|
安全系 | とにかく壊れないことが第一の設計者。 とても安全な設計であるが必要以上の安全性を求めていることもある。 一般的な設計者。慎重派。 |
耐久系 | 耐久年数を長くすることに造詣が深い設計者。 不動産投資物件や木造古建築を多く設計している者に多い。 ベテラン。 |
経済系 | 費用を抑えることに造詣が深い設計者。 安全となる範疇でできる限り安く設計することに注力する。 安全性と経済性の線引きが難しく、思い悩むことも多い。 投資物件の設計者。負けず嫌い。 |
施工系 | 施工方法に対して造詣が深い設計者。 現場がとてもスムーズに進むが、現場に縛られていることも多い。 ゼネコンの設計者。現実的。 |
意匠系 | 特殊形状や建築家との仕事に造詣が深い設計者。 生産効率は悪いが、新しい価値を生み出す可能性がある。 アトリエ系の設計者。挑戦的。 |
未来系 | 自動化や最適化など最新の設計に造詣の深い設計者。 特殊であり現在は不完全な部分も多いが、 構造設計におけるゲームチェンジャーになる可能性がある。 マイノリティ。実力者。(念能力で言う特質系) |
まとめ:構造設計者も千差万別
建築士の中の構造設計者を念能力風に分類してみました。
構造設計者も建築士の中では少ないですが、その中でもいろいろなタイプに分かれています。
実際に関わりのある構造設計者がどのようなタイプなのか、一度考えてみるのもおもしろいかもしれません。
また構造設計は、一生をかけて技術を磨き続ける仕事です。
私も同僚や仲間と切磋琢磨を続ける中で、自分の得意なことを見出して強みを見つけていきたいと思います。
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